居抜きのテナントで支払う造作譲渡料とは?含まれるものや注意点も確認更新日:2021.10.28
こんにちは!札幌すすきのを中心にテナントビルを展開するLCグループです!
開業のためにテナントを探していると、「居抜き物件」や「造作譲渡」「造作譲渡料」という言葉に出会うかと思います。
「居抜き物件」は知っていても、「造作譲渡」「造作譲渡料」という言葉は初めて耳にする方も多いのではないでしょうか?
今回のコラムでは、テナント探しで知っておくべき造作譲渡と造作譲渡料について解説します。
居抜き物件で開業する前に、造作譲渡のメリット・デメリット・注意点などを確認しましょう。
テナント探しで出てくる居抜き物件・造作譲渡・造作譲渡料とは?
居抜き物件とは、直前に入居していたお店の内装や設備が残されている物件のこと。
テナント入居後は、残された内装や設備をそのまま引き継ぎ、使用することができます。
このときに、前の店主が新しい店主へ内装や設備を譲り渡すことを「造作譲渡」といいます。
居抜き物件の契約では、物件の持ち主とテナントの賃貸契約を結ぶのとは別に、前店舗の持ち主と造作譲渡契約を結ぶ必要があります。
テナントそのものは物件オーナーのものですが、内装や設備はそれを取り付けた前店舗のものだからです。
そして、内装や設備を譲り受けるために相手へ支払う費用のことを「造作譲渡料」といいます。
※造作譲渡契約や造作譲渡契約書に関しては「居抜き物件の造作譲渡契約書とは?その重要性や内容、注意点を確認!」もご参考ください。
居抜き物件で造作譲渡契約をするメリットとデメリット
居抜き物件で造作譲渡を受けるメリットは、初期費用を大幅に抑えられること!
通常テナントを借りる際には、内装や設備をすべて取り除いた「スケルトン状態」で入居するのが基本です。
そこから内装・設備工事をし、使用する器具や家具、備品を買いそろえて開業準備をするので開店までには時間もかかりますし、多額の費用が必要ですよね。
造作譲渡を受けて引き継いだ内装や設備を活用できれば、開店に向けての時間を短縮することができ、浮いた費用を運用資金や設備投資などに充てられます。
前店舗のオーナーにとっても、テナントの原状回復をしなくてよいので原状回復費用を削減できるというメリットがあります。
ただし、譲り受けた内装や設備が新しい店舗のイメージに合い、必要な設備とは限りません。
内装をつくり変えたり設備を入れ替えたりしたい場合は、既存の内装・設備の撤去費用がかかる分、かえってコストがかかる場合もあるので注意しましょう。
居抜き物件のテナントで支払う造作譲渡料に含まれるものは
造作譲渡料は、譲り受ける内装や設備「一式」の価格となっています。
造作譲渡で譲り受けるものすべての価格が含まれるということです。
不動産用語でいう「造作」とは、天井や壁紙、床などの内装のほか、水道・空調・電気設備など。
造作譲渡ではこれに加え、厨房機器やレジスター、音響機器、カウンター、テーブル、イスなどの什器(じゅうき)や家具、備品まで含むことも少なくありません。
一方、厨房設備などの中で前店舗の所有物でないリース品は、一般的には譲渡物には含まれません。
また、建物の構造部分も前店舗の所有物ではないので含まれませんよ。
ただし、造作譲渡料にどこまでの内装・設備・備品が含まれるかは、個別の契約内容によります。
場合によっては鍋やお皿、スプーンまで譲渡するというケースも。
リース品も一緒に譲渡された場合は、残りのリース契約も引き継ぐことになります。
トラブルを避けるためにも譲渡するもののリストを作成してもらい、細かくチェックしましょう。
居抜き物件テナントの造作譲渡料を抑えることは可能?
開業に向けての初期費用を抑えるためにも、造作譲渡料も抑えられたら嬉しいですよね。
造作譲渡料の相場は、譲り渡す内装・設備の内容や点数には関わらず、立地や人気度など、物件の需要によって決まります。
立地が良く需要が高い人気物件なら造作譲渡料は高く、逆に人気の低い物件なら低くなる傾向があります。
造作譲渡料が相場と比べて高いと感じたなら、造作譲渡契約を結ぶ前店舗オーナーと価格交渉をしてみてはいかがでしょうか。
前店舗の退去日まであまり時間がなく、ほかに購入希望者のいない物件なら、価格交渉によっては、造作譲渡料を下げてもらえるかもしれません。
造作譲渡先が見つからなければ、原状回復をして物件オーナーに返却する必要があり、前店舗の所有者に原状回復費用がかかってしまうからです。
造作譲渡料を交渉する際には、「この設備はいらないから、その分値引きしてほしい」など、一方的な要求にならないように気をつけましょう。
人気のある物件なら、ほかにも購入希望者が現れる可能性があるので、無理な交渉はしないほうが無難です。
居抜き物件で造作譲渡契約をする前に確認しておくべき点
造作譲渡を受けて居抜き物件を契約できれば、開店準備にかける時間やコストを大きく削減できます!
しかし造作譲渡契約の前には、造作譲渡のデメリットも踏まえ、以下の点を必ず確認しておきましょう。
物件オーナーの了承を得ているか
テナントの賃貸契約は物件オーナーと結びます。
造作譲渡契約は前店舗オーナーと結びますが、その前に物件オーナーの了承を得ている必要があります。
造作譲渡契約書に、物件オーナーの了承を得ている旨が明記されているか確認しましょう。
原状回復の範囲
内装や設備を引き継いで入居したとしても、自分が退去するときにはスケルトン状態に原状回復するのが基本です。
前の店舗オーナーが取り付けた内装や設備を取り除くことになります。
契約するときには、前の店舗オーナーが壊したままの部分があった場合、修繕費はどちらが負担するのか決めておくことが大切です。
内装や設備がある状態で入居しているので、原状回復の範囲が分かりづらい可能性もあります。
原状回復義務の有無や範囲は賃貸契約書に明記されているので、契約前に内容をしっかり確認し、原状回復が必要な範囲を把握しておきましょう。
譲渡品の内容や個数
造作譲渡で譲り受けるものは、リストにしてもらい確認を。
内装や設備はどんなものがあるのか、備品は何がいくつあるのかなど、漏れが無いようにチェックしましょう。
使用しないものを譲り受けると、思わぬ処分費用がかかってしまう場合もあります。
また、譲渡品の中にリース品が含まれているかの確認も忘れずに!
リース品を譲り受けるとその後のリース契約も引き継ぐことになり、利用料または解約料がかかるので注意しましょう。
譲渡品の状態
電気・水道設備、厨房設備などを譲り受ける場合は、事前に動作確認もしておきたいところ。
壊れて使えないものを譲り受けても、修理費用や処分費用がかかるだけです。
調子が悪い設備や備品などについても尋ねておきましょう。
造作譲渡後に設備の不調に気づいた場合、どちらが責任を負うのかも造作譲渡契約書に明記しておくと安心です。
まとめ
●居抜き物件・造作譲渡・造作譲渡料とは?
居抜き物件とはテナントの前入居店舗の内装や設備がそのまま残されており、それを引き継いで使える物件のこと。
物件オーナーとテナントの賃貸契約を結ぶのとは別に、前店舗オーナーと造作譲渡契約を結んで内装などを譲り受けます。
内装や設備を譲り渡すことを「造作譲渡」、造作譲渡を受けるために相手に支払う費用のことを「造作譲渡料」といいます。
●造作譲渡料には何が含まれる?
造作譲渡料には、譲渡する内装・設備・家具・備品など一式が含まれます。
リース品の設備は通常含まれませんが、譲渡する場合は残りのリース契約も引き継ぐことになります。
具体的に何を含むかは個別の契約によるので、造作譲渡契約書や譲渡物のリストなどでしっかりチェックしましょう。
●居抜き物件の造作譲渡料を抑えることは可能?
造作譲渡料の価格は譲渡する造作物の内容や個数ではなく、物件の需要によって決まります。
人気の高い物件は造作譲渡料も高くなり、人気の低い物件は造作譲渡料も低くなる傾向に。
退去日まで期間が短く、ほかに購入希望者もいないなら、前店舗オーナーと価格交渉をしてみても良いかもしれません。
●居抜き物件で造作譲渡契約をする前に確認しておくべき点
造作譲渡契約の際には、物件オーナーの了承や原状回復の範囲、譲渡品の内容や状態について事前にしっかり話をしておきましょう。
「開業の初期費用を抑えるために居抜き物件に入居したのに、思わぬコストがかかってしまった」なんてことにならないように設備の状態や契約の内容をしっかりと確認することが大切です!
飲食店の開業をご検討されている方で疑問点やお困りのことがあれば、札幌すすきのを中心にテナントビルを展開するLCグループの磯へお気軽にお問い合わせください!