テナント側が契約時に関わる消防法とは?内装工事前の注意点も解説!更新日:2020.04.27
こんにちは!札幌すすきのを中心にテナントビルを展開するLCグループです!
夢に見ていた、お店の開業。
理想とする店内の様子を想像しながら、テナント物件を探したり、どのような内装にするかを考えるのは楽しいですよね。
しかし、テナントの物件探しは楽しいだけでなく、入居の際に理解しておかないと痛い目にあってしまう法律があります。
その法律の1つが消防法です。
今回はテナント契約時に関わる消防法を理解して、スムーズに開業できるように準備しましょう。
テナント契約時に消防法はどう関わる?必要な手続きの流れも
消防法とは火災の防止や消火活動・消防設備について取り決められている、1948年に公布された歴史ある法律です。
実はテナント物件に入居する際や内装を変更する際に、知らない間に消防法に違反していることがあります。
違反した場合には、自分のお店が営業停止になるなんてことも!
消防法に違反した場合の罰則内容は主に以下の2つです。
- 消防局ホームページに公表される
- 使用停止命令などの行政処分
そのため、事前に消防署へ相談することが必須です。
テナント入居の際に行う消防法に関する手続きについて、流れも確認しておきましょう。
テナント契約で消防法に関わる手続き
希望するテナント物件が見つかって入居が決定したら、まずは消防署へ連絡です。
消防設備では「消火設備」「警報設備」「避難設備」が義務付けられており、それぞれ建物の面積や収容人数などでどのような設備が必要か決まります。
ビル側で設置されてる場合が通常ですが、テナントの用途が変更になる場合は新たに消火栓やスプリンクラー、自動火災報知器などの設置が必要となることもあるため、消防署に相談をします。
消防関係で必要な手続きの流れは、以下の通りです。
- テナントの営業内容や内装変更について消防署へ相談
- 新たな消防用設備等の設置工事実施前に、「工事整備対象設備等着工届出書(新たに追加工事を有する設備について説明する書類)」を消防署へ提出。
- 新たな消防用設備等の設置工事実施後に、「消防用設備等設置届出書(設置完了を説明する書類))」、「防火対象物使用開始届(使用を開始する時に届け出る書類)」を消防署へ提出
※火を使用する場合は「火を使用する設備等の設置届出書」を提出 - 消防署の立ち入り検査
- 問題なければ、テナントの使用開始
ここで、大切なことが1つ。
「防火対象物使用開始届」は使用開始の7日前までに届け出をしてくださいね。
消防法に関わる注意点。消防管理者の選定、消防設備の費用負担の確認を!
消防管理者とは、消防管理に対する知識と技能を有する監督的立場の人を指します。
飲食店など不特定多数が出入りし、全体の収容人数が30人以上の場合には消防管理者が必要です。
複合ビル内のテナントの1つを使用する場合は、建物のオーナーや消防署に消防管理者の選定が必要か確認しましょう。
ビル自体が総括して防火管理者資格を取得してる場合、借りる側は届出を出さなくても良いケースもあります。
消防管理者は火災は人命に関わるため、責任感と実行力を兼ね備えているのはもちろんですが、なるべく退職しない常勤者が適任です。
消防管理者の選任が必要な場合は、決定してから「防火管理者選任届出書」「消防計画作成届出書」を消防署に提出します。
従業員の火災に対する意識向上と安全を守るために、消火訓練や火災訓練を実施します。
教育訓練の際には「消防訓練実施計画報告書」と「消防訓練実施結果報告書」を消防署に提出することを忘れないでくださいね。
また、使用用途が変わることによる設備不足の場合は、設置費用が借り主負担になることが多いですが、借り主と貸し主で協議が必要です。
基本的に物件の契約書に消防関係の責任の所在等も記載されていますが、稀に書かれていない場合もあるため、費用負担については事前に確認しておきましょう。
テナントの内装工事で消防法や火災に関するチェックポイントは?
自分好みの内装へ変更したいと考えている場合、まずは消防法による「内装制限」を確認しましょう。
内装制限とは内装による火災拡大を防ぐため、細かく記載されています。
消防法ではカーテンやじゅうたんなど防炎物品が対象です。
そのため、使用予定の物品が防炎対象商品かメーカーに確認してから内装を変更しましょう。
実は消防法だけでなく、火災拡大を防ぐために建築基準法という規制も。
建築基準法では建物の用途や延べ面積により、使用できる内装の天井と壁材を防火材料として規定しています。
飲食店の多くは準不燃以上の材料を使用することが必要です。
- 難燃材料:5分間燃えない材料
- 準不燃材料:10分間燃えない材料
- 不燃材料:20分間燃えない材料
ただし、防火材料は「燃焼しない」「壊れにくい」「有害ガスを発生しない」等を基準に3段階に区分されいていますが、昔と比較して材料が豊富になっています。
近年では特定の材料を指定するわけではなく、条件を満たせば様々な材料を使用可能です。
消防法の対象は防炎物品、建築基準法の対象は防火材料、と理解しておいてくださいね。
まとめ
・消防法とは、火災の防止や消火活動・消防設備についての法律です。テナント契約時や内装工事にも関係し、違反した場合は罰則があります。
・テナント入居前に消防署へ相談します。
- 消防署へテナントの営業内容や内装変更について相談
- 新たな消防用設備等の設置工事実施前に、「工事整備対象設備等着工届出書」を消防署へ提出。
- 新たな消防用設備等の設置工事実施後に、「消防用設備等設置届出書」、「防火対象物使用開始届」を消防署へ提出
※火を使用する場合、「火を使用する設備等の設置届出書」を提出 - 消防署の立ち入り検査
- 問題なければ、テナントの使用開始
・30人以上の収容人数が予定される場合は消防管理者の選定して、「防火管理者選任届出書」「消防計画作成届出書」を消防署に提出します。複合ビル内のテナントの1つを使用する場合は、建物のオーナーや消防署に消防管理者の選定が必要か確認しましょう。
・内装工事をする場合に、消防法ではカーテンやじゅうたんなどの防炎物品が対象となるため、素材をメーカーに要確認しまう。