テナントの休業補償とは?やむを得ず休業する場合の補償を知ろう更新日:2020.04.24
こんにちは!札幌すすきのを中心にテナントビルを展開するLCグループです!
お店をやむを得ず休業しなくてはいけない場合、売り上げは上がらなくても家賃や光熱費、従業員への手当など固定費用の支払いは必要です。
休業が長く続くと経営状態が心配になりますが、そんな時に休業補償を受けられる保険があれば安心ですよね。
今回は、テナントが万が一、休業となった場合の休業補償についてのお話です。
テナントビルの都合で休業になった場合は対応してもらえるの?
休業補償をしてくれる保険ってどんな内容?
そんな疑問を解決します!
工事など、テナントビル側の都合で休業する場合の休業補償は?
お店を休業しなくてはいけない理由には、さまざまなものがあります。
その中のひとつとして、入居しているテナントビル側の都合でお店を休業しなくてはいけない場合があります。
テナントビルの責任による休業とは、ビルの工事などでテナントの通常営業が不可能となって休業するケースです。
- ビルの老朽化のため修繕工事
- ビル全体の電気設備の交換工事
- ビルに雨漏りがあるための修繕工事
こういった工事の期間にお店の営業ができなかった場合、お店はテナントビル側へ工事期間中の休業補償を請求できるのでしょうか。
実はこのようなケースで、テナントビル側が入居店舗へ休業補償をするべきとする法律はありません。
修繕工事や設備の交換工事は、むしろビルの品質を保つために必要なもので、その間の休業補償をしろとまではいえないのです。
ここでは、通常使用できなかった期間の「家賃の減額請求」にとどまります。
ただし、老朽化を放置するなど「ビル側の管理不足によって起きた雨漏り」による休業では、テナントがビル側へ休業補償を請求するケースもあります。
テナントは「店舗休業保険」に加入して万が一の休業補償を得よう
やむを得ない事情で店舗を休業することになった場合、休業中も家賃や光熱費、従業員への手当など固定費の支払いは必要です。
休業が続くと、収入はないのに経費だけがかさんで経営を圧迫してしまいます。
そんな万が一の休業に備えるためにも、「店舗休業保険」に加入することをおすすめします。
店舗休業保険とは、やむを得ない休業の場合に保険金が支払われる事業用の保険のこと。
支払われるケースと、認められないケースがあるので知っておきましょう。
■保険金が支払われるケース
- 台風により窓ガラスが割れ店内が荒れてしまった
- 落雷によって停電してしまった
- 食中毒を起こしてしまい、行政から営業停止処分を受けた
- 上階からの水漏れで店が水浸しになってしまった
- 泥棒に入られて商品や設備を盗まれた
■保険金が支払われないケース
- 契約者の故意、または重大な過失を原因とする休業
- 冷凍庫が壊れ、中の食材が腐ってしまったことによる休業
- 商品を万引されてしまったことによる休業
- 従業員が運転する車が衝突して店舗が損害を受けたことによる休業
- 地震、津波、噴火による休業
やむを得ない休業でも、全てのケースで補償されるわけではありません。
地震、津波、噴火を直接の原因とする損害を補償する保険は「地震保険」のみです。
補償される範囲や計算方法
補償の対象は、売上から原価を引いた「粗利益」です。
年間の粗利益額を営業日で割って1日あたりの粗利益額を算出し、休業日数分の補償となります。
[補償額計算例]
年間の売り上げ:6,000万円
仕入原価:1,800万円
営業日:300日
(6,000万円-1,800万円)÷300日=14万円
1日の粗利益は14万円という計算になります。
保険金の設定額に合わせて月々の保険料が決まり、万が一の休業の際には、休業した期間に応じて保険金が支払われます。
※補償金額は保険会社ごとに条件金額や算出方法が異なります。
休業保険以外にテナント店舗が入っておくと安心な保険
店舗の営業にはさまざまなトラブルが想定されます。
その他の保険や補償内容を知り、万が一の事態へ備えましょう。
火災保険
火災や災害で自分の財産に損害があった場合の保険
例)火事を起こして店内の機械が燃えてしまった
借家人賠償責任保険
借りている建物へ損害を与えてしまった場合の保険
例)火事を起こして店内の内装を燃やしてしまった
施設賠償責任保険
営業上で人に損害を与えてしまった場合の保険
例)スープをこぼしてお客様がやけどをした
生産物賠償責任保険
会社で生産した商品、仕事の結果により人に損害を与えてしまった場合の保険
例)食中毒を起こしてお客様が入院した
受託者賠償保険
お客様から預かった品物に対して損害を与えてしまった場合の保険
例)クロークで預かったコートを紛失してしまった
お店の業種や営業形態によって、起こりうるトラブルや必要な備えは異なります。
必要な補償をしっかり見極めてするべき保険を検討しましょう。
まとめ
・入居しているテナントビルの老朽化や設備工事でお店を臨時休業する場合、テナントビル側に休業補償義務はありません。ただし、通常使用できなかった期間の「家賃の減額請求」は可能です。
・やむを得ない休業には「店舗休業保険」で備えましょう。店舗休業保険では、 売り上げから仕入原価を引いた「粗利益」を補償します。 火災や台風、落雷などの損害による休業、食中毒による営業停止処分、窃盗被害による休業などが対象です。従業員による車の衝突や地震、津波、噴火による休業など、対象とならないケースもあるので注意しましょう。
・テナントで想定されるトラブルや損害は、業種や営業形態によってさまざまなものがあります。休業にはならなくても、トラブルによる損害賠償や修理代が必要なケースもあります。そのような損害を想定し、必要な保険に加入しておきましょう。